中学生の息子が自転車を…!?親子で警察に行ったあの日【体験談】


警察から電話があるかも…。
俺が自転車をって…。
お子さんから、突然このようなメッセージがスマホに届き、「このときは何が起こっているのかよくわからず、思考が停止しました…」と話し始めたEさん。
中学校では、成績も良く、生活態度も良く、友達も多くて先生からの評価も良い息子さんが、まさか警察のお世話になるとは思わなかったとのこと。
Eさんに詳細をお伺いしました。
裏切る友達と信じる息子
「俺が他人の自転車を持って帰ったから、警察に来るようにって連絡が来るかも」というお子さんからのメッセージには続きがありました。
具体的には…
- 別の中学の友達と遊んでいたときに、最寄駅から家が遠い友達が「ラクに帰りたいから」と自転車置き場で鍵がかかっていなかった自転車を持って帰ってしまった。
- 盗んだ場にはいなかったが、自転車置き場の入り口にはいて、勝手に持ってきてしまったんだということはわかった。
- 帰宅時に途中まで乗せていってあげると言われて、乗ってしまった。
ということだったらしいです。
そして、後日、お友達が学校をサボって、その自転車に乗ってウロウロしていたところを警察から声をかけられ、盗難届が出ていたので発覚したそうです。
でも、なぜ、警察から「Eさんのお子さんが盗んだ」と連絡が来るかもしれないのでしょう?
話には続きがありました。



どうやら、そのお友達のご両親は子を叱るときに手をあげるらしく、親から何されるかわからないって言ってたみたいです。
それで、警察に声をかけられたときに、この自転車は、うちの息子から借りたものだって言ったらしくて。
しかも、息子も友達の家庭環境が可哀想だからって、それでいいって言ってたんですよ…。
と、驚きの内容です。
Eさんの息子さんは、当時「親友が酷い目に遭うのは可哀想だ」と言っていたらしいですが、自転車の窃盗は立派な犯罪です。
その身代わりなんて、親としては黙ってられませんよね…。
Eさんのお子さんは、他の仲の良い友達と集まって、「どうしたら友達を救えるか」を相談すると言って、なかなか帰宅しなかったそうです。



そのお友達の家庭環境は気の毒だけど、私は自分の息子の方が大事です。
なので、どうにかしないとって思いました。
Eさんは、いつもお子さんたちが集まっている公園でお子さんを見つけ、すぐに警察に連れて行ったそうです。



本当のことをちゃんと言いなさい。
と言いましたが、息子さんは、納得しておらず、



まだ、警察に捕まった友達と連絡取れてないし、俺が何か言ってあいつが親からまた殴られたりして、大変なことになったら嫌だから。
だから、俺は本当のことは言わない!
と押し問答しながら、警察に行ったそうです。
けれど、話を聞いてくれた警察官が優しく、そして諭すように息子さんに話しかけてくれたそうで、根が素直なEさんの息子さんも迷いが生じたようでした。
ただ、そこでは、息子さんもどう言っていいか、ふんぎりがつかなかったようで、夜も遅くなっていたことから、また翌日…となったとのこと。
担当してくれた警察官からは、「息子さん、隠していることがあるようなので、友達と口裏合わせたりしないように気をつけて見ていてください」と、Eさんにこっそり耳打ちがあったそうです。
そこで、帰宅後、Eさんは、息子さんからスマホは没収して、連絡が取れないように気をつけたとのことでした。
事の次第をやっと把握した息子
翌日、学校から帰宅した息子さんは、ちょっと様子が違っていました。
どうやら、同じ中学校の仲の良い友達に相談したら、



おまえ、親友って言ってるけど、向こうは友達とさえも思ってないだろ、それ。都合のいいやつになるなよ。そんな友達を親友とか呼ぶなよ。俺たちがいるだろ!
と言ってくれたそうです。
息子さんは、そこで初めて事の大きさをちゃんと理解し、自分の置かれた状況に怖くなったようでした。
そして、今度はちゃんとEさんの言葉に耳を傾けて、どうすればいいかをちゃんと話し合ったそうです。
Eさんは、息子さんに嘘をつかずに、自分が知っていることをそのまま素直に話すようアドバイスしたとのこと。
そして、一緒にまた警察に行きました。


今度は、Eさんとお子さんは、別々の部屋に呼ばれ、警察官と話をすることになりました。基本的に、男性の警察官が話を聞き、たまに、女性の警察官に代わって雰囲気を変えて、さらに話を聞くような流れだったそうです。
Eさんは、基本的に待機でしたが、女性の警察官が話をしているときに、男性の警察官が状況を説明しに来てくれたとのことでした。
息子さんは、もう黙ったり、嘘をついたりすることなく、知っているとおりのことを話しましたが、当時、その現場にいて、盗んだことも知っていたことから、警察官からは「共犯ではあるよ」と言われました。
Eさんは、正直なところお咎めなしだと思っていたそうで、ショックを受けたそうですが、「しょうがないですね。事実ですし…」とおっしゃっていました。
ひととおり、話をしたあと、現場検証に行き、実際の駐輪場で息子さんがいた場所の写真を撮ったそうです。
そのときに、



盗んだ自転車は、どこに停めてありましたか?
と聞かれたそうなんですが、息子さんは駐輪場の入り口にいたので、それはわからず、



どこだろう?ずっとここにいたから、どこに停めてあたのかは、わかりません。
と答えたら、



なるほど、本当に窃盗のときは一緒にいなかったんですね。
と警察官が頷いていて、Eさんは、「あ、こうやって言ってることが本当かどうか確かめるんだ」と思ったそうです。
そして、



では、また連絡することになると思いますが、そのときはよろしくお願いします。
と言われて、解散となりました。
もう終わっていたと思っていたが…
その後、Eさんの息子さんは、高校生となり、Eさんはこの件を「不処分で終わった」と思っていました。
けれど、一年半ほど経って、警察から連絡が来たのです。



調書を作成するので、また警察署に来てください。
と言われて、びっくりしたEさん。
詳細を聞くと、これから書類作成し、家庭裁判所に送られて、審判となるかどうか…とのことでした。
そして、状況により、保護観察となったり、少年院などの施設に行くことになったり、不処分となったりすることがあると言われたそうです。
ただ、警察官の方はハッキリとは言いませんでしたが、「まぁ、Eさんの息子さんのケースは、これで終わるかも…」のように言われたそうです。



それで、息子が再度、警察署に行ったんですが、結局はそれで終わりました。
ホッとはしましたが、本来やっちゃいけないことをやってしまったわけですし、2度と同じことを起こさないように…と息子と話しました。
と、当時を思い出し、疲れた表情で話すEさん。
ただ、今はもう息子さんも、その当時の友達ともう会うことはなく、真っ当な意見をくれた友達や、高校でできた友達と付き合っているそうです。



友達を大切に思う気持ちを持つことは素晴らしいことだと思いますが、まずは自分を大切にしてほしいな、と思います。
というEさんの言葉に共感しつつ、思春期の子育ての難しさを感じたお話でした。












