「仕事内容にも条件にもこだわりつつ、しっかり収入を得られる働き方がしたい!」を叶えている子育て中の女性にお話を伺いました。
専業主婦で離婚し、パートから始めて現在、正社員というシングルマザーさんです。
どうやってお仕事を見つけたの?とか、パートから正社員になれるの?など、プレシングルマザー・シングルマザーの方にとって、気になることがたくさん詰まったインタビューになりました。
Aさんのプロフィールとお仕事の概要
プロフィール(インタビュー当時)
- 年齢:40代前半
- 同居している家族:小学生低学年の子どもが一人、母(健康で介護の必要なし)が一人
- 住居:実家(関東)
- 専業主婦になるまでの仕事の経験:IT企業での事務職(大卒、PC中級程度、英語・スペイン語のスキル有り)
就職概要
- 小規模の株式会社の事務
- 正社員(パート→正社員)
就職活動開始から就職決定まで
就職活動はどのように始めましたか?
離婚した時は専業主婦だったので、離婚して各種手続きが落ち着いたらすぐに就職活動を始めました。
最初はハローワークと県の女性キャリアセンターという女性の就業支援施設に相談に行って、履歴書や職務経歴書を添削してもらったり、実際にお仕事を紹介してもらったりしました。
どんな仕事を探していましたか?
一番重視していたのが「通勤時間が短いこと(通勤が30分程度である)」ことでした。
母と同居していたけれど、最初は保育園の送り迎えも、子どもの世話も、家事も、全部自分でやらなくては!と思っていたので、時間に間に合うことと、通勤ラッシュで余計な体力を奪われないことを考えていました。
会社の業種などにはこだわりはありませんでしたが、語学スキル(英語・スペイン語)が活かせる仕事を希望していました。
雇用形態も正社員にこだわり、派遣会社にも登録しましたが、派遣会社からの紹介は正社員につながる紹介予定派遣だけを考えていたので、なかなか条件に合うところがなく、転職サイトにも登録したりしました。
仕事が決まるまで
通勤に関する条件がネックで、紹介してもらった仕事も就業場所で断ることもあり、なかなか決まりませんでした。
ぜひここで!と思った企業もありましたが、残念ながら書類審査が通らず・・・原因はわかりませんが、年齢やシングルマザーということが引っかかったのかな?と感じました。
また、企業によっては、「この年齢で学歴や職務経歴もそれなりにある女性は、どう使えばいいかわからない」という断り方をされることもあり、就職活動の難しさを感じました。
そういうしているうちに、保育園の退園期限(求職活動中の入所認定期限)が近づいてきたので、こだわっている余裕はないと感じていた時に、友達から今の会社を紹介されました。
仕事が決まったきっかけはなんだと思いますか?
就職先は、会社設立から間もなく、まだ社員のいない小規模の株式会社で、特に求人を出していたわけではありませんでした。
なので、募集している職種があるわけでもなかったので、スキルなどより、スペイン語圏での海外生活経験など、私のユニークな人生経験をかってくださったとのことでした。
就職活動を通じて感じたことはありましたか?
今思えば、はじめから自分で就職活動のハードルを上げてしまっていた、と感じます。
結局はパートでの就職だったし、英語やスペイン語は特に使わないし、こだわっていた条件のうち希望が叶ったのは通勤に関してだけでした。
でも、結果としていい就職となったので、就職活動の時はこだわりを持ちすぎないことも大切だと感じました。
パートから正社員へ
パートの条件はどのようなものでしたか?
週に何日かで、時間もフルタイムより少し短めで、月額固定給と決まりました。その条件だと時給にして1400円くらいでした。
また、仕事内容は、もともと求人していたわけではないので、私に任せたい仕事があったわけじゃなく、しかもスキルや経験からの採用でもなかったので、まずは外注しているPC業務をやることになりました。
入社した時、仕事に対する不安や戸惑いはありましたか?
PCのスキルはあったので、専業主婦からのブランクというのはあまり気になりませんでしたが、当時スマホを持っていなかったので、PC以外の最近のITスキルについていけるか不安でした。
また、社長は私がどれくらい仕事ができるかわからなかったので、「これだけのことができます!」というアピールをしていかなくては・・・という思いがありました。
取り扱っている商品の知識もなく、外注している業務という社内マニュアルなどがない仕事から始めたので、手探り状態で進めることに戸惑いもありました。
パートにもかかわらず、新しい業務を習得するために出張したりすることについては不満も感じましたが、新しいことにチャレンジし、作り上げていく過程にはやりがいも感じて、楽しいとも思ったりしました。
収入アップを考えたきっかけ
外注していた業務や社長・専務がやっていた業務を引き継いでいるうちに、決めていた時間では帰れなくなったり(残業)、出張に行くことになったりしました。
仕事用の携帯電話も支給され、自宅で仕事をする時間も増えてきてしまって、時給にすると数百円にしかならないんじゃないかという状況になってしまっていました。
どう交渉しましたか?
仕事量が増えて、業務時間が増えたので、「時給制にしてほしい」とお願いしました。
すると、それまでの仕事内容を評価してくれた社長が、「正社員として働くことも考えてみて」と提案してくれました。
正直なところ、自宅で仕事をする時間もかなり増えていたので、完全時給にしてもらった方が収入面で満足できると感じましたし、パートのままの方が勤務日の融通もきき、休みも取りやすいと思っていました。
ただ、仕事量が増えてきた分、業務内容も多岐に渡るようになり、責任の重さも感じてきていたので、正社員を選択することにしました。
その代わり、給与に関しては希望を言い、それを受け入れてもらいました。
給与の希望に関しては、特に細かい計算はせずに、ざっくりと手取り年収360万円あったら十分暮らしていけるかなという思いで希望しました。
正社員から現在
さらなる条件のアップのきっかけ
入社から約半年で正社員となり、翌年の年収がそれなりになったので、国民健康保険の減額がなくなり、国民年金の免除もなくなるため、今度は社会保険の加入もお願いしました。
その時も手取り年収を確保しました。すると、翌年は児童扶養手当の所得制限を超えるほどの年収になりました。
仕事に対する悩みはありますか?
小さい会社なので、このままずっと会社がちゃんと存続していくのか、突然収入がなくならないか不安です。
この就職はAさんにとってどうでしたか?
最初は仕事もどんどん増えるし、子どもとの時間も取れないし、イライラすることもありました。
今は信頼されて任されているので、自分でスケジュール管理ができ、子どもの行事などにもちゃんと参加できて満足しています。また、仕事の内容も多岐に渡り、すべて任せてもらっているのでやりがいを感じます。
業務の効率化を考えていたら、Excelの技術も向上しましたし、研修の講師という新しいスキルも身につけることができました。お客様や仕入先との折衝も任されているので、コミュニケーションスキルも非常に向上したと感じます。
取り扱っている商品にも興味が出て、仕事していて楽しいです。
将来について考えることはありますか?
収入も、たとえ実家を出たとしてもなんとかやっていける年収をもらうことができていますし、このままこの会社で働いていけたらいいなと思っています。
でも、子どもが大きくなって、もう少し気持ちにも時間にも余裕ができたら、他に興味を持っていることで副業をしたいと思います。
そうすれば、突然収入がなくならないかという不安も、少し薄れるかもしれません。
インタビュアーより
Aさんの働き方インタビューはいかがでしたでしょうか?
私は、以下のようなポイントが参考になると感じました。
就職活動の条件について、「最初から自分でハードルを上げない方がいい」というのは、とても参考になりますね。
そして、文中にはありませんが、Aさんが業種にこだわらなかった理由は、「知らない業種だとしても、新しいことを知るのが楽しいから構わないです。知らない業種の方が楽しいかもしれません。」とのこと。この前向きさも素晴らしいです。
そして、求職活動といえばハローワーク等の職業斡旋をイメージしますが、友達からの紹介とのこと。
どんなところにご縁につながる出会いがあるかわからないものです。周りに求職中と伝えることができそうであればやってみましょう。
やっていることに対して、収入が見合わないと感じたら、正当な自己主張ができる強さもポイントです。
それは、「この業務なら任せてくださいと言えることができた」とAさんがおっしゃるように、社内はもちろん、社外でも通用するスキルを身につけたり、技術が向上した自信もあるからでしょう。
そして、それが社長にも認められているため、給与アップにつながったのです(=辞められると困る存在になった)。
会社勤めだと、なかなか自分だけのスケジュールでは動けず、子どもとの時間を犠牲にすることが多々あると思います。
でも、Aさんの就職先のような設立から間もない小さな企業というのは、大手企業のような安定感はないかもしれませんが、仕事のやり方を一人に任せてもらえることでスケジュール管理がしやすく、子どもとの時間を確保できる良さもあります。
Aさんのように、上司の指示がなくても自分で業務のやり方を考えようと思ったり、新しいことに戸惑いではなく興味を持って向かえるタイプの方は、このような就職先を考えてみるのもいいかもしれません。
また、最初はパートから始まったとしても、このように正社員へと繋がる可能性もあるとわかりました。
離婚当初は公的支援を受けながら、パートにより作れた時間でスキルアップして、キャリアアップを目指すのも一案として、ぜひ心に留めてくださいね。